
カァミン
うちに帰れない 四方の壁から
染み出る鐘の音 誰かの影
昼に笑ってる 鉛の真実
「きみこそ正しい鉛筆の持ち方」
どうも出来ない ほうったらかしで
ぼくの手が
そっと崩れる どうにでもなるね
うちに帰れない ぼくは生まれない
薬の数ほど くたびれてる
止まれぬ車の 渡れぬ信号
犠牲者は誰の 恋人の影武者?
誰のように 話せばいい?
この口で
そっと囁く「どうにもならない」
爪を切る夜を 弔うぼくらを
恨む人たちを どうもしない
鉛筆の先を ぼくに差し込んだ
きみこそ真理の ぼくらの神様
「きみこそ正しい鉛筆の持ち方」
ずるやすみ
ブランコゆらす風が
窓のスキマを抜けてくる
外から予感がする
白いカベをはじく太陽
テレビのむこうがわの
人形たちの話を聞く
外では兵隊たちが
ぼくの事を 探している
ずるやすみ
空はこんなに青く 晴れてる
ずるやすみ
誰かが布団を叩いてる
すべり台の上から
紙ひこうき飛ばす 誰か
外では兵隊たちが
ぼくの事を 探している
目にうつるものの全て
誰かの信号
ずるやすみ
かくれていよう ずっとここで
ずるやすみ
ビデオテープ
壊れた車の心臓 太陽に捧げてる
広場のオブジェたち
古びたラジオをきいてる
時間を越えて 進む温度
わかるよ ぼくらがありありと
原色のきみが今 強気に答えた
ああ ぼくで最後
たもとが緩められて 白けた義務
いつも ここがはじまる場所
目と目の間で今 はじまる暴力
ああ ぼくの声が
ああ きみの証明
10棟~集会所~
口ずさむ朝と ボタンかけ違えた
ぼくは昨日と今日を 同時に見ている
かわいた広場 太陽
浮かんだ広場 かすみ
足の中に住む 気だるさを撫ぜて
ひねもす赤白 浮かぶのが全て
動かぬ広場 滲む
笑った広場 落ちる
転んだゆりかご 壊れてる神様
てっててて
番号ふって青 手をあげて赤
目をつむったら みんないなくなった
来る来る夜の波が 来た来た朝の波が
来なくていいのに
名札に書いた 名前が逃げた
爪先立ちの いない人だれ
来る来る人の波が 来た来たうそみたいに
どうせ消えるのに
鐘が鳴る丘
来る来る人の波が 来た来たうそみたいに
どうせ消えるのに
12棟と子供
こまくがやぶれて あふれる水が
変な顔をして ゆれてる
写真の誰かの目が ぼくを見る
からだのかたち 歪んだまま
しわぶきやみの子供は 今夜中笑って
巻尺からはかる 夢の大きさを抱いてる
あの子もその子も みんなおんなじ
ボタンの目をして ゆれてる
誰もがおんなじ目をしてるから
百日咳は治らない
駐車場を見下す緑 針葉樹のてっぺんで
しわぶきやみの子供が 友達を呼んでる
こまくがやぶれて あふれる水が
変な顔をして ゆれてる
誰もがおんなじ目をしてるから
百日咳は治らない
薬水
夢のとばり 橙色
湯船の中 笑うからだ
若いみどりの 端っこに触れる
神様はみている 水の声を
ゆれる窓辺 ふるえる水
冷たい柵 電車の窓
話し声の 見えない国
体のふちどりを ぼやけさせた
神様の指を くわえた刻を
はだかのまま 膝を抱いて
この街に 気づかれないよう
顔伏せて 笑いあった
鏡の中 息ひそめて
うつる君と 眠った
命の話
足長のたんす お下がりの服が
大きくなってく私達の皮膚を
真似てる 今日も
頭の大きなアナログテレビは
同じテープを流し続けて
時間がまたずれて
産まれては生きてきた
全ての生き物の朝と
喋らずに 眠らずに
ほこりをかぶるだけの君たち
捕まえた虫を小瓶に詰め込む
理由もない命の終わりを見てたあの日
今日は
階段を上り 秘密の暗号
君にだけあの日殺めた命の話をしたい
産まれては生きてきた
全ての生き物の日々が
冷え切った階段を
静かに太陽と上るだけ
おいのりの日
ちょっと 秒針の動く音が
頼りない朝に きみが
誰よりも正しくみえた
ちょっと 水をつかめた日
黒い目の色と同じ陰が
クリーム色の壁を這う
伸び縮みするたびに
息を吐いた肺は
風を産み出してる器官
ぼくと同じ!
空 きのうとちがうね
色も頼りない朝に
きみが誰よりも正しくみえた
向こうで待ってる人 手招きしているよ
明日の神さまを決める日 集会の日
朝が来るよ きみは旗をあげて歩く
行進の先頭
何度も繰り返すデジャヴ 帰ろうよ